●eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
信託報酬 0.154%(税抜0.14%) ※消費税は10%で計算した
実質コスト 0.22%(うち信託報酬を除く部分は0.066%)
純資産額 297億3000万円(2017年5月9日新規設定)
マザーファンドの規模
日本株 2450億2000万円
先進国株 3372億2600万円
新興国株 715億5600万円
日本債券 5442億7300万円
先進国債券 1203億1400万円
新興国債券 204億2100万円
日本REIT 237億9200万円
先進国REIT 197億1200万円
圧倒的な低コストです。
しかも、ベビーファンドの純資産額はもうすぐ300億円に到達することから、早期償還のリスクは皆無であり、安定運用を期待することができます。
ところで、バランスファンドは、
(1)先進国、新興国、日本
(2)株、債券、REIT(リート)
を組み合わせ、9種類の資産の配分比を変えることで独自性を出しています。
配分比の変え方は、
(1)時価総額比
(2)GDP比
(3)均等配分
(4)その他
の4種類に分けることができます。
時価総額比の代表格はセゾングローバルバランスファンド、GDP比の代表格は世界経済
インデックスファンド、均等配分の代表格はイーマクシススリムバランスになります。
ただし、セゾングローバルバランスファンドのアメリカ株はS&P500指数に連動しており、厳密な意味での時価総額比ではありません。
しかも、セゾン
投信は、セゾングローバルバランスファンドは「指標
インデックスをなぞることだけ」を目指すのではなく、「超過リターンを追求するために真摯に最善を尽くす」アクティブファンドであるとの宣言を行っています。
●アクティブファンドとは何か(セゾングロバラはやっぱりアクティブファンド)
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-602.htmlまた、世界経済
インデックスファンドは、2016年12月末、不可解な配分比の変更を行いました。
http://www.smtam.jp/shared/pdf/report_column/HP__20161228_.pdfこれまでは、先進国55、新興国35、日本10の配分比だったのですが、先進国60、新興国30、日本10に変更しました。
上記のリンク先の説明文を見ると、この変更はGDP比が変更されたことによるものではなく、新興国から先進国にマネーが流れそうだというファンドマネージャーの将来予測に基づくもののようです。
ちなみに、上記リンク先には2016年のGDP比が記載されていますが、それによれば、先進国54.8、新興国38.9、日本6.3ですから、GDP比を貫くのであれば、日本を減らして新興国を増やさなければなりません。
しかも、GDP比といっても、先進国、新興国、日本の内部の構成比は時価総額比ですので、世界経済
インデックスファンドは、時価総額比で構成されている各マザーファンドの保有率をGDP比にしただけのものでしかなく、時価総額比とGDP比が混ざった中途半端なものとなっています。
このように、世界経済
インデックスファンドには、
(1)時価総額比の既存マザーファンドを利用しているため、例えば、先進国株と新興国株の保有率はGDP比だが、先進国株内部(例えば、アメリカとイギリス)では時価総額比であり、中途半端
(2)組み合わせ比率についても、GDP比を貫くのではなく、ファンドマネージャーの相場観を反映させている
という2つの問題点(自らのコンセプトに忠実ではないという意味)があります。
このように、セゾングローバルバランスファンドも世界経済
インデックスファンドも、いずれもインデックスファンドではないアクティブファンドですから、我々のようなインデックス投資家の投資対象とはなりませんが、この点を措くとしても、実は、時価総額比、GDP比、均等配分というコンセプトは、実は大した問題ではありません。
「わたしのインデックス」というサイトがあります。
http://myindex.jp/このサイトには「資産配分ツール」があり、自分の好きな配分比でシミュレーションができます。
上記ツールを利用して計算したリターン、リスク、シャープレシオ(いずれも過去20年の年率平均)です。
※シャープレシオ:リターン÷リスク。この数値が高いほど1リスクあたりのリターンがよく、効率的な投資となる。
4資産均等 3.9 9.7 0.40
8資産均等 6.4 12.1 0.53
セゾングロバラ(5資産時価総額比) 5.1 11.6 0.44
世界経済(GDP比) 5.8 12.9 0.45
VT(全世界株、時価総額比) 5.2 18.5 0.28
(参考)先進国株 5.1 18.8 0.27
シャープレシオだけを見れば8資産均等型が最も優秀であることが分かります。
とはいえ、8資産均等型は、5資産時価総額比、GDP比のバランスファンドと比べて、隔絶した優位性があるとはいえません。
しかし、確実に言えることは、コストはリターンをむしばむということです。
その意味で、スリムバランスの税抜0.14%という超絶な低コストは非常に魅力的です。
トータルコストの比較です(消費税は10%として計算した)。
●スリムバランス 0.22%(うち信託報酬を除く部分は0.066%)
●セゾングロバラ 0.661%(うち信託報酬を除く部分は0.001%)
●世界経済インデックスファンド 0.615%(うち信託報酬を除く部分は0.065%)
また、将来、どの資産が値上がり、どの資産が値下がるかは誰にも分からない以上、全ての資産を同じだけ買っておくという戦略をとれば、どれかが下がってもどれかは上がりますので、平穏な気持ちをもってリスク市場に居続けることができ、稲妻が輝く瞬間を逃さない効果も得ることができます。
というわけで、イーマクシススリムバランスは、
(1)全てのバランスファンドの中でコストが最安であること
(2)8資産均等というコンセプトは投資家に安心感を与える戦略であり、リスクリターン比も極めて優秀であること
から、バランスファンド部門の最優秀ファンドはスリムバランスとします。
なお、2018年7月20日、「楽天・インデックス・バランス・ファンド」が新規設定されました。
これは、株式部門はVT、債券部門は為替ヘッジありの全世界債券ファンドに投資するという極めて野心的なファンドですが、最近公開された第1回運用報告書を見ると、残念ながら高コストに沈みました。
しかも、この高コストが近日中に改善する可能性はありません。
●楽天バンガードバランス3種がコスト高の理由
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1397.htmlしたがって、楽天バンガードバランス3種はスリムバランスの敵とはなりません。
また、インデックスファンドとしては国内最大規模のニッセイ外国株を擁する「ニッセイなしなしシリーズ」にもバランスファンドはあります。
4資産均等型、6資産均等型、8資産均等型の3種類です。
しかし、その純資産額は、4資産均等型が38億6000億円、6資産均等型が3億5900万円、8資産均等型が2億2000万円であり、芳しくありません。
このうち4資産均等型の信託報酬は税抜0.14%、信託報酬を除くコストは0.042%、実質コストは0.196%です。
スリムバランス(8資産均等型)の信託報酬は0.14%、信託報酬を除くコスト0.066%、実質コスト0.22%ですので、ニッセイバランス(4資産均等型)はスリムバランス(8資産均等型)と戦えるコスト水準にあるといえます。
ただし、ファンドの純資産額は300億円と30億円であり、ニッセイバランス(4資産均等型)はスリムバランス(8資産均等型)に大差を付けられています。
ニッセイバランス(4資産均等型)の新規設定日は2015年8月27日です。スリムバランス(8資産均等型)の新規設定日が2017年5月9日であることを考えると、今後、ニッセイバランス(4資産均等型)が劇的に純資産額を伸ばす可能性は極めて低いものと思われます。
したがって、ニッセイバランス3種はスリムバランスの敵とはなりません。
コメント
たわら男爵様が8資産均等よりも先進国株式100%を推奨する理由はなんですか?
過去20年間が今後の20年間を約束するものではないとはいえ債券やREITに分散されている8資産の方がリスクは減るでしょうしリターンは誰にも分かりません
それなら8資産に100%投資する方が合理的なのではないでしょうか?
2019/07/30 22:50 by URL 編集
No title
>たわら男爵様が8資産均等よりも先進国株式100%を推奨する理由はなんですか?
リートは株式インデックスに含まれており、債券は長期リターンでは株式に勝てず、為替リスクや利上げによって暴落するリスクがあるからです。
2019/08/02 20:58 by たわら男爵 URL 編集