この投資信託がすごい(2019年7月、米国株編)

スリムシリーズが、2019年7月1日、運用報告書を公開したことを受けて、「この投資信託がすごい」シリーズを順次更新します。

このシリーズは、インデックスファンドのうち、私が最高だと考えるものをご紹介するというものです。



【この投資信託がすごい(目次)】
※順次、最新版に更新していきます(●更新済、〇更新前)。

●先進国株(現物株ファンド)
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1382.html
〇先進国株(ETFを買うだけファンドとの比較)
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1179.html
●新興国株(現物株ファンド)
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1383.html
〇新興国株(ETFを買うだけファンドとの比較)
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1182.html
〇TOPIX
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1192.html
●米国株
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1408.html
●全世界株(含む日本)
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1400.html
●全海外株(除く日本)
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1403.html
〇バランスファンド
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-957.html

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まず、米国株に投資する低コストインデックスファンドは、以下の5つです。
なお、信託報酬は、消費税込み(増税後の10%で計算)のものであり、米国ETFの経費率を含みます。

(1)CRSP USトータル・マーケット・インデックス(全米の大型株、3566銘柄)
●楽天・全米株式インデックス・ファンド 信託報酬0.162%(信託報酬0.132%+ETF経費率0.03%)
純資産額500億0500万円、ETF純資産総額12兆0450億円、ファンド純資産総額84兆9970億円

(2)S&P500(米国の大型株、505銘柄)
●eMAXIS Slim米国株式(S&P500)  信託報酬0.165%(税抜0.15%)
純資産額245億6800万円、マザーファンドの規模364億3600万円

●iFreeS&P500インデックス 信託報酬0.2475%(税抜0.225%)
純資産額77億万円、マザーファンドの規模57億4600万円

(3)ダウ・ジョーンズ工業株価平均(大型株、30銘柄)
●iFreeNYダウ・インデックス 信託報酬0.2475%(税抜0.225%)
純資産額119億2400万円、マザーファンドの規模80億4400万円

たわらノーロードNYダウ 信託報酬0.2475%(税抜0.225%)
純資産額15億4500万円、マザーファンドの規模12億5300万円


このように、指数が上から下に行くにつれ、銘柄数が少なくなり、集中投資になっていきます。
米国株投資の王道はS&P500指数ですが、日本にはなぜかS&P500指数に投資するインデックスファンドがありませんでした。

米国ETFを買うだけファンドであるi-mizuho米国株(現在はiシェアーズ米国株、2013年9月3日新規設定)はあったものの、今一つパッとしませんでした。
そして、インデックスブロガーの期待を背負って登場したiFreeS&P500も、リリース直後にiFree新興国株が原因不明の高コスト(税込1.337%)に沈んだことで失速しました。


「米国株はやはり日本では受け入れられないのか」


誰もがそう思ったとき、楽天全米株が颯爽と登場しました。
楽天全米株は、バンガード社のピカピカのブランド効果を武器にして驚異のスピードで純資産額を集めました。
楽天米国株の純資産額は、2019年7月25日付けで500億円に到達しています。

そして、楽天全米株の成功を見て二匹目のドジョウを狙ったスリム米国株の純資産額も、もう少しで250億円に到達するところまできています。

米国株に投資したいのであれば、この2つのファンドのどちらかで決まりです。
なぜなら、ダウをベンチマークとする2つのファンドはコストが相対的に高く、30種類の超大型株に投資する点で集中投資をしすぎていますし、iFreeS&P500が気になるところですが、やはりコストが相対的に高いからです。

※iFreeS&P500は、現在、保有銘柄の25%が米国ETFのため、その経費率(0.04%×25%=0.01%)を別途負担する必要があります。

また、CRSP USトータル・マーケット・インデックス(3566銘柄)とS&P500(505銘柄)は、銘柄数こそ違いますがほぼ同じものですので、好みで選べばよいでしょう。

この点について、バンガード社の創業者であるボーグルは、その著書「インデックス投資は勝者のゲーム」で、次のように述べ、S&P500指数への投資を強く推奨しています。


2つのインデックスのリターンの長期的な相関は0.99(1.00が完全相関)もあり、どちらを選択しても差異はない(妻が保有する不動産を管理する財団を設立するにあたり、ウォーレン・バフェットは資産の90%をコストの低いS&P500インデックスファンドに投じるように指示を出したことは知っておくべきである)。(60頁)
投資期間が長く、かなりの胆力と度胸のある投資家、つまり、そのときどきの市場の暴落にも動じない勇気のある投資家は、S&P500インデックスファンドに100%アロケーションすることが良い選択となろう。(295頁)


これに対し、マルキールとエリスは、その著書「投資の大原則」で、次のように述べ、全市場型株式ファンドを推奨しています。


これまでずっと述べてきたように、「全市場型」株式ファンドは勧めるが、たとえば有名なスタンダード&プアーズ500大企業インデックス・ファンドは勧めない。
なぜなら、スタンダード&プアーズ500はアメリカで取引されている株全体の70パーセントを占めているだけだからだ。30パーセントを占める残りの中小企業の多くは積極経営の活力に富み、将来急成長する可能性が高い。(155頁)


2人が推奨するのはVT(全世界株ETF)ですが、S&P500かVTIのどちらがいいかと聞かれたら全市場型であるVTIを勧めるものと思われます。

ちなみに、マルキールは、その著書「ウォール街のランダムウォーカー」で、次のように述べています。


S&P500指数はアメリカ経済の最もダイナミックな部分を構成する、何千もの中小企業群を除外しているからだ。
この結果、私は今では、もし1つだけアメリカ株のインデックス・ファンドを買うとするなら、S&P500ではなく、市場の動きをよりよく反映していると思われるラッセル3000、ウィルシャー5000種指数、もしくはMSCIブロードUSインデックスのほうを勧めたい。(474~475頁)


結局のところ、これらの指数に絶対的な優劣はなく、これらの指数をベンチマークとするインデックスファンドを比較して選択するしかなさそうです。

楽天全米株とスリム米国株の信託報酬を除くコストは、どちらも優秀です。


楽天全米株 0.06133%(第2期運用期間9か月の実績値から推計した)
スリム米国株 0.08139%(第1回運用期間10か月の実績値から推計した)
両者の差 0.02006%(1000万円あたり2006円の差)


この差は誤差の範囲内であり、これだけではどちらが決定的に優秀かは分かりません。

ただし、スリムシリーズの運用会社である三菱UFJ国際投信は、運用報告書に記載された数字は必ずしも正確ではなく、経費計上されない隠れコストが別にかかっていると述べていますので、0.08139%以上のコストが確実にかかっていることになります。

これに対し、楽天バンガードシリーズの運用会社である楽天投信投資顧問は、次のように述べていますので、0.06133%以上のコストはかかっていないことになります。


楽天バンガードシリーズの場合、ETFを売買しているファンドですので、1万口あたりの費用明細で開示している内容をそのまま目安としていただいてよろしいかと存じます。この費用明細作成に際しては、コストの実額を用いて計算しておりますので、もちろん、期によって変動はございますし、過去の実績ではございますが、概ね実態に即していると考えております。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1332.html


また、以前も書いたことですが、広瀬隆雄さんは「つみたてNISAで何を買えばよいか」と聞かれて、次のように答えています。
https://twitter.com/hirosetakao/status/1141987762599370752
https://twitter.com/hirosetakao/status/1142006872565833728

「楽天全世界株式インデックスファンド」もしくは「楽天全米株式インデックスファンド」が良い気がします。
その理由は明快です。積み立てNISAとかiDeCoは、ゼロ戦だとおもって。つまり何十年も積み立てるものですから、航続距離が決定的に重要になる。もし燃費が悪いファンドを買うと「海にドボン!」です。
紹介した商品は「なぜそんなローコストが実現できる?」というカラクリがボクに見えやすいです(=ヴァンガードのファンドに依拠している)。だから安心して紹介している。
僕の仕事は機関投資家向け米国株セールスだったので世界の機関投資家が顧客でした。日本の金融機関はしょぼい。どこの馬の骨かわかんないようなチンケな連中が運用しているファンドをうかつに言及して、ツボったら、たまんない。
そういうキモチで当たり障りのない商品を選んでいる…これでわかった?


純資産額を見ると、VTIを買うだけファンドである楽天全米株は圧倒的です。

スリム米国株のマザーファンドの純資産額は364億円であり、これは米国株に投資するインデックスファンドとしては極めて優秀ですが、VTIは桁が違います。
VTI自身が12兆0450億円、VTIを含むファンド全体(※)の純資産総額が84兆9970億円です(1ドル110円で計算)。

※仕組みはよく分かりませんが、バンガード社は、ETFもインデックスファンドも一つの同じマザーファンドっぽいサムシングにぶっこんで運用していると説明しています。

楽天全米株に懸念材料があるとすれば、信託報酬を引き下げるつもりが皆無だという点です。


企業努力としてがんばりたいとは思っていますが、正直、公募投信に係る0.12%は最大限努力をした結果です。大きい会社と価格競争しても厳しいので、違うところで戦いたいと思っています。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1024.html


しかし、米国株ファンドは全世界株・全海外株ファンドと同様、伝統的に人気がありませんので、既に確固たる地位を築きつつあるスリム米国株よりも低コストなライバルファンドが突然出現し、スリム米国株が対抗値下げした結果、楽天全米株が相対的に高コストのまま取り残されるという事態は現実化しないのではないかと考えています。

というわけで、私は、米国株投資は地域リスクがありすぎると考えるため推奨はしませんが、米国株インデックスファンドでどれか一つ買うとしたら楽天全米株がよいと考えます。


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コメント

No title

男爵様

先日、米国株式でのご検討をお願いしたものです。
詳細なご検討誠にありがとうございました。

男爵様の益々のご発展・ご活躍を祈念しております。

No title

記事と関係ないコメントですみません。

ウォール街のランダム・ウォーカーは原著第12版が発売されましたので、広告を差し替えられた方が良いかと存じます。

No title

コメントありがとうございます。

>詳細なご検討誠にありがとうございました。

参考にしていただけたのであれば、よかったです。

>ウォール街のランダム・ウォーカーは原著第12版が発売されましたので、広告を差し替えられた方が良いかと存じます。

ありがとうございます。
さっそく差し替えました。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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