楽天バンガードバランス3種がコスト高の理由

バンガード社の米国ETFを買うだけファンドである楽天バンガードファンドシリーズですが、2018年7月20日、満を持して3種類のバランスファンドが同時に販売されました。

これらファンドは、全世界株ファンド(VT)、円ヘッジありの全世界債券ファンド(アイルランド籍の投資信託)という2種類のファンドを固定配分比で購入するものです。

※最新の月報によると、VTは7937銘柄、債券ファンドは1万1064銘柄に分散投資しています。

均等型は株式50:債券50、株式重視型は株式70:債券30、債券重視型は株式30:債券70の固定配分比で、VTと債券ファンドを購入するという極めてシンプルな建付けになっています。

これらの第1期運用報告書が先月末に公開され、投信ブロガーの一部で話題になりました。



※よろしければ、次の記事もご覧ください。

●市役所からの納付書は到着までなぜ時間がかかるのか?
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1396.html#more


※イオンカードの新規発行で、3か月連続で還元率が20%となります。
●d払い+イオンカードで40%還元か?
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1380.html

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●均等型
信託報酬 0.102%
信託報酬を除くコスト 0.182%

年率換算
信託報酬 0.1296%
信託報酬を除くコスト 0.23124%

●株式重視型
信託報酬 0.102%
信託報酬を除くコスト 0.194%

年率換算
信託報酬 0.1296%
信託報酬を除くコスト 0.24649%

●債券重視型
信託報酬 0.100%
信託報酬を除くコスト 0.194%

年率換算
信託報酬 0.1296%
信託報酬を除くコスト 0.18403%


ちなみに、楽天全世界株(VTを買うだけファンド)の信託報酬を除くコストは、第1期が0.2724%、第2期(9か月実績を1年換算)が0.09199%でした。

並び替えてみます。

楽天全世界株(第2期) 0.09199%
債券重視型 0.18403%
均等型 0.23124%
株式重視型 0.24649%
楽天全世界株(第1期) 0.2724%

これを見ると、楽天全世界株の信託報酬を除くコストが第1期から第2期にかけて激減していることから、楽天インデックスバランスファンドの3種の信託報酬を除くコストも第2期には激減するだろうとの予測ができます。

しかし、そううまくはいきません。

なぜなら、楽天全世界株の信託報酬を除くコストが激減したのは、ひとえにその純資産額が積み上がったおかげだからです。

楽天全世界株は、第1期運用期間中、その純資産額をゼロから105億6300万円まで激増させました。
これに対し、第2期の9か月目までは105億6300万円から210億2100万円に増えています。

金額はほぼ同額ですが、ゼロから100億と100億から200億では全く意味が違います。というのは、100億円分のVTを購入するコストが同じだけかかったとしても、コストを負担する母数が全く違うからです。
ごく単純に言うと、第1期に買った人は自分だけでコストを負担しなければならなかったのに対し、第2期に買った人は自分だけでなく第1期に買った人にもコストを負担してもらえるため、負担するコストが半分で済むことになります。

楽天全世界株は、第1期運用期間(9か月半)に100億円の純資産額を集めることに成功しました。
これに対し、楽天インデックスバランスファンド3種の純資産額は、第1期運用期間(9か月)では、均等型3億円、株式重視型10億円、債券重視型3億円しかありません。
明らかにスタートダッシュに失敗しており、今後も純資産額の劇的な伸びを期待することはできません。

しかも、楽天インデックスバランスファンド3種にはマザーファンドがなく、それぞれのファンドがVTと債券ファンドを直接買い付けるという建付けになっています。
つまり、それぞれのファンドの純資産額が増えない限り、第1期運用報告書に記載されたコスト水準が今後も続くことになります。

私は、第1期運用報告書を見たとき、「なぜマザーファンドを作らないのだろう」と思いました。
3種類のバランスファンドに共通のマザーファンド作ってもいいし、株式部分は楽天全世界株のマザーファンドを利用してもよいでしょう。バラバラではコスト高であっても、まとめることで規模のメリットを享受し、コスト削減効果が期待できます。

聞いてみました。

前回は丁寧にご回答いただき、ありがとうございました。
さて、本日、楽天バンガードバランスの運用報告書を拝見したところ、実質コストが高いことが気になりました。これらは株式はVT、債券はアイルランド籍の投資信託を購入していますが、ファミリーファンド方式を採用しておらず、3種類のファンドがそれぞれVTと債券ファンドを買っていることから、いつまでたっても実質コストが高いままなのではないかと危惧しています。
楽天全世界株はVTを購入するだけなのにマザーファンドを間に入れているわけですが、それよりも後発のバランスファンドが楽天全世界株のVTのマザーファンドを利用しなかったことに理由はあるのでしょうか?(質問1)
また、何らかの理由で楽天全世界株のマザーファンドを利用できなかったとしても、せめて3種類のバランスファンドは株式マザーファンドと債券マザーファンドを間に入れて少しでも数的優位を確保すべきではないかと思うのですが、直接VTとアイルランド籍ファンドを購入したほうがよい理由があるのでしょうか?(質問2)
最後に、今後、株式部分について楽天全世界株のマザーファンドに統合することが技術的に可能かどうかについても教えていただきたいです。(質問3)
ご多用中恐縮ですが、ご回答をお待ちしております。


【回答(開始)】

たわら男爵様
この度はご質問いただきましてありがとうございました。
たわら男爵様のブログはいつも拝読させていただいております。
弊社ファンドを定期的に取り上げていただきありがとうございます。

さて、遅くなりましたが以下の通りご回答させていただきます。
たわら男爵様のご希望に沿った回答となっているかはわかりかねますが、今後のご参考になれば幸いです

質問1・2につきましては、まとめてお答えいたします。
楽天全世界株式(以下楽天VTとします)を例としてご説明いたします。
※日本国内における各種法律、協会ルール等に基づいたお話としてご説明させていただきます。

ETFを含む、いわゆる投資信託証券(ファンド)に投資する公募投資信託を組成する場合、形式は原則としてFoFs形式を選択することになりますが、このFoFs形式とするには、複数のファンドを組み入れる必要があります(ファンドオブファンズ)。
従いまして、VTを組み入れる公募投資信託を組成する場合、別のファンド(例えばマネーファンド)を組み入れることが要件となります。
楽天VTを設定するに際しては、インデックスファンドとしてつみたてNISA適格となることが非常に重要なポイントの一つと考えておりましたので、関係所管とも十分検討しながら、別のファンドを組みいれるFoFs形式とするのではなく、マザーファンドを間に入れるファミリーファンド形式にすることで、この問題をクリアすることとしました。

一方、バランスファンドの組成に際しては、楽天VTマザーファンドとグローバルボンドインデックスファンドを組み合わせたFoFsにすると、すでに楽天VTマザーファンドがETFに投資しているためFoFoFsと3階層になってしまうことから、これは技術的に認められません。そのため、2つのファンド(VTとグローバルボンドインデックスファンド)に直接投資するFoFs形式としました。

なお、グローバルボンドインデックスファンドに投資するマザーファンドを立てて、マザーファンドとマザーファンドを組みわせたファミリーファンドにすればよかったのではないか、と思われるかもしれませんが、この点に関しては、非常に技術的な話になりますが、グローバルボンドインデックスファンドがUCITSに準拠した、非上場のファンドであるため、上場しているETFの場合と異なりマザーファンドとして設定するには、制度上何らかの別ファンドを組み入れる必要(FoFs形式に準じる必要)があるのです。
こうした点等を総合的に勘案し、現在の形にしております。

なお、アイルランド籍のUCITSに準拠したファンドのメリットは、ユーロ圏や米国からの利金に税金がかからないことなどがあげられます。債券ファンドですので、この点は非常に大きいと考えております。また、トレード面でもUCITSのファンドは有利な点が多いこともあります。

質問3につきましては困難と考えます
ファンドとファンドの統合は、技術的には可能なケースもありますが、上述等の理由から、本件に関しましては、実質的に難しいと言わざるを得ません。

ブロガーの皆様(投資家の皆様)からみると疑問に思われる点も多々あるかと思いますが、是非また貴重なご意見等をお寄せいただけましたら幸いです。

引き続きよろしくお願いいたします。
楽天バンガードHEADS運営担当

【回答(終了)】


楽天投信投資顧問には毎回大変丁寧に回答していただき、感謝に耐えません。
この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございます。

さて、今回の回答で、楽天投信投資顧問としては、楽天全世界株を組成するとき、マザーファンドを作らずにVTを直接買い付けたかったところ、それは制度上無理だったので(ファンドオブファンズにするには複数のファンドを組み入れなければならず、VTだけでは組成できない)、マザーファンドを作ってファミリーファンド方式にしてみたという驚きの事実が判明しました。

楽天バンガードファンドシリーズが本来であればバンガード社のファンドを直接買い付ける建付けにしたかったのであれば、楽天インデックスバランスファンド3種がVTとアイルランド籍のファンドを直接買い付ける建付けにしたのは当然だということになりますね。

なお、楽天全世界株のマザーファンドを利用するためには、

(1)楽天全世界株のマザーファンド+アイルランド籍のファンド
(2)楽天全世界株のマザーファンド+アイルランド籍のファンドを買うだけのマザーファンド

という方法が考えられるところ、前者はファンドオブファンズのルールに反し(楽天全世界株のマザーファンドが三重構造になってしまうから)、後者はマザーファンドのルールに反するので(マザーファンドを組成するには非上場のアイルランド籍のファンドのほかに他のファンドを何か入れる必要があるから)、いずれも実現できないようです。

非常に勉強になったわけですが、楽天インデックスバランスファンドの明るい将来が全く見えなくなりました。
いまさらですが、最初から3種を販売するのではなく均等型1本に全力集中していれば、セゾンバンガードを脅かす有力な対抗馬になったかもしれないことを思うと、残念でなりません。


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コメント

No title

いつも参考にさせていただいています。
記事とは関係のない質問ですが、「TRUST CLUB プラチナ マスターカード」というクレジットカードが出たようですが、かなりお得なカードのようで発行を検討しています。
「ダイニング by 招待日和」以外はあまり使わなそうですが、一回利用だけで元が取れてしまいそうです。
たわら男爵さまはどのように思われますでしょうか。

こんにちは
妻と私でslim先進国を積み立てています。
三菱が危なくなることはないと思いますが、同じ信託報酬のニッセイがあるので妻がslim.、私がニッセイでもいいのかと思ってきました。
どうお考えになりますか?

No title

コメントありがとうございます。

>「TRUST CLUB プラチナ マスターカード」というクレジットカードが出たようですが、かなりお得なカードのようで発行を検討しています

プラチナカードなのに年会費3000円であること、ダイナースクラブの券面を丸パクリしたことで話題になったものですね。

レストランや空港手に持つ郵送サービスを利用する予定があればよいと思いますが、コンシェルジュサービスがなく還元率が0.5%というのが気になり、私は魅力には感じません。

>三菱が危なくなることはないと思いますが、同じ信託報酬のニッセイがあるので妻がslim.、私がニッセイでもいいのかと思ってきました

心配であればそれでも構いませんが、破綻リスクはほぼありませんので、それほど神経質になる必要はないと考えます。

私はリタイヤ済みですので、VTとたわら先進国株に分散していますが、リタイア前であればスリム先進国株だけに積立投資をしていたと思います。

No title

いつも貴重な情報ありがとうございます。
現在、個人向け国債変動10年を900万円分SBI証券で保有しています。

今後、数年で満期になって、個人向け国債を再度購入する場合、みずほ銀行で購入したほうがよろしいでしょうか。

みずほ銀行には口座があるのですが、みずほ証券には口座がありません。国債を購入する場合、みずほ銀行ではなく、みずほ証券で購入したほうがよろしいでしょうか。みずほ証券で口座を開設するには、近くのみずほ証券に行って開設したほうがよろしいでしょうか。

近くのみずほ証券で口座開設して、個人向け国債を購入した場合、通帳のようなものをいただくことになるのでしょうか。また、引っ越しをした場合、手続きは大変なのでしょうか。

現在のSBI証券の個人向け国債10年900万円分を途中解約してみずほ証券に預けた方がよろしいでしょうか。たわら男爵さんでしたらいかがいたしましょうか。

初歩的な質問ですが、ご返事いただけると嬉しいです。

No title

カードの質問をしたものです。
ご回答ありがとうございました。
私の収入ではコンシェルジュサービス等がついたカードを持つにはまだ早そうですので、こちらのカードを一旦検討してみようと思います。

No title

コメントありがとうございます。

>現在のSBI証券の個人向け国債10年900万円分を途中解約してみずほ証券に預けた方がよろしいでしょうか。

個人向け国債は1000万円以上で申し込まないとキャッシュバックの旨味がありません。

各社がキャッシュバックに力を入れるのは、個人向け国債をドアノック商品にしているからですので、営業担当者がいないネット証券はキャッシュバックが少なく、やはり旨味がありません。

私ならば1000万円にしてみずほ証券に預け替えます。
なお、みずほ証券はネットで全て完結できます。私は何度か引っ越しましたが不便を感じたことはありません。

ただ、以前も記事にしましたが、みずほ証券の預かり資産をみずほプレミアムクラブやブリリリアントクラブの試算条件(1000万円ないし3000万円)にカウントするためには最初に1度みずほ銀行の視点に行く必要があります。

>私の収入ではコンシェルジュサービス等がついたカードを持つにはまだ早そうですので、こちらのカードを一旦検討してみようと思います。

レストランで元が取れそうであれば申し込んでもいいと思います。

ベンツ、ロレックス、プラチナカード。

誰もが一度はほしくなりますので、この機会に自分にあうかどうかを試してみてもいいかもしれません。

No title

ご返事ありがとうございます。
感謝しております。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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